フードのページ

レンコンのきんぴら

小学生くらいの頃、正式名称は知らないが「お弁当箱の歌」という幼児向けの 手遊び歌に疑問を抱いていた。もちろんお弁当箱の歌というのは、「これっくらーいの、 おべんっとばっこに〜」という、アレである。

何が疑問なのかと言うと、もちろん歌の骨格をなしている「弁当の中身」 だ。弁当の中身には少しバージョンがあるらしく、地域や時代によっては、 サンショウだったり、ゴマだけだったりするらしいのだが、私が知っている 歌の中身は、おにぎり、刻み生姜、ごま塩、ニンジン、さくらんぼ、しいたけ、 ゴボウ、穴のあいたレンコン、すじの通ったフキである。

第一の疑問は、ごま塩は何処に振られていたのか、だ。普通に考えたら おにぎりのはずだ。おにぎりには海苔が付いている事が多いだろうが、 弁当箱にチョイと詰めているところから、おそらく俵型のおにぎりでしかも 海苔は付けられて居なかったと推定される。当然白いおにぎりでは見た目が 寂しいから、ごま塩くらい振ってあげるのが母心というものだ。だが、 言葉の前後関係を考え始めると、ごま塩の前に出てくる刻み生姜に、の「に」 と言う助詞が、モノを指し示す用法の「に」なのか、前後の文章をつなぐため の「に」なのかが判らない。あれに、これに、それに…の様な文章の つなぎとしての「に」であるならゴマ塩おにぎりでおかしくないが、 生姜を指し示す用法で使われていたとしたら、生姜にごま塩を振っている 事になるのだ。

第二の疑問は、蛋白源が無いことだ。ニンジンやしいたけ、ゴボウなど 和モノ野菜が使われているところから、おそらく煮物になっているのであろう。 しかも、弁当に入れられることから汁気を少なくした、煮しめであると 推定される。がしかし、動物性植物性問わず、たんぱく質が見あたらない。 煮しめであるなら高野豆腐くらい入れておいて欲しかった。幼児向けの歌なので あるから、小さい頃からバランスの良い食事について、自然と解るように するべきなのではないか。

第三の疑問は、さくらんぼである。弁当にたんぱく質は入ってなくとも デザートを付けてあげようという愛情を感じるが、このラインナップの おかずと一緒に箱に入れられたサクランボは美味しいのだろうか。 本来メインのおかずとなる肉や魚が用意できないくらいの家庭であるから、 購入してきたサクランボであるはずがない。きっと裏の畑の傍らに、たまたま 植えられていたサクランボが実ったから、寂しい弁当に華を添えようと 取り合わせも考えずに入れてしまったのであろう。この母の愛情を思うとき、 なんだか泣けてくるのだが、しかし、私はサクランボは嫌いである。 迷惑な話だ。

第四の疑問は、レンコンである。そもそも穴のあいていないレンコンが 存在するのか、などと言った事ではなく、煮物にレンコンなんて入って ないっしょー、という事だ。レンコンは暖かい地方でしか採れないため、 以前の北海道ではあまり食べられてはいなかった。であるから煮物にレンコン、 ましてや弁当にレンコンなど、小さい頃の私には想像もつかなかったのだ。 しかも、北海道でたまに口にするレンコンと言えば、水煮の真空パックものか、 冷凍モノのレンコンだったため、美味しいなどと思ったことも無かった。

だが、北海道を出るようになって、初めて生のレンコンを食べたとき、 衝撃を感じた。シャキシャキして美味しく、今までに食べたことの ないような野菜だったのだ。しかも、生のレンコンをすりおろして調理 することもできる。水煮や冷凍のレンコンではありえない事である。 煮物に入れても柔らかいがしかしサクっとしている。酢蓮にしても、 キンピラにしてもシャキシャキシャキ…。今では我が家の食卓には欠かせない 野菜となっている。中でもキンピラは登場回数が多い。

レンコンは包丁ではなく皮むきで皮を剥く。包丁で剥くと厚くなったり して時にはレンコンの穴まで到達してしまうが、皮むきなら安心である。 皮を剥いたら3mmから4mm厚にスライスして、水に浸けてアク抜きをして 置く。フライパンにごま油と鷹の爪を入れて水切りしたレンコンを炒める。 レンコンの周りが透き通ってきたら砂糖とみりんを入れて一呼吸おき、 その後で出しの素と薄口醤油で味付けし、汁気を飛ばすように炒りつけたら ゴマを入れて完成である。

忘れてしまうところであったが、最後にして最大の疑問は、こんな 弁当で美味しいのだろうか、である。明治女のうちのばあちゃん だってもっとマシな弁当を作ってくれたものだ。もっとモダーンリアリティ溢れる おかずにした方が良いであろう。


材料1回分レンコン200gくらい・適当に
調味料ごま油・大匙1
みりん・大匙2
醤油・大匙1
砂糖・小匙1
ダシの素・小匙半分
鷹の爪・一本
白胡麻・好きなだけ
作り方レンコンは皮をむき3mm厚くらいにスライスして水に浸け、10分くらいアク抜きをしておく。レンコンは切った傍から水に入れていけば特に酢水にする必要もない。
フライパンにゴマ油と鷹の爪を入れて水気を切ったレンコンを投入し炒める
砂糖とみりんを入れて2分くらい経ってから残りの調味料を入れて汁気を飛ばせば完成
備考我が家では最後の仕上げに黒酢を小匙1杯入れている。とてもさっぱりしてオススメである。

レンコンのきんぴら


トップへ  フードトップへ